葬儀について
病院指定の専属業者ということはありません。 基本的には霊安室の管理を委託されている業者であり、実際に葬儀をどこの葬儀社に依頼するかは、ご家族皆様の自由です。心当たりの葬儀社がある方は先ず連絡をとって、初期行動の相談をしてみましょう。
深夜であったり病院側の都合で、時間的制約がある場合は、搬送だけを依頼することも可能です。その際は料金もいくらぐらいかかるか事前に聞いておきましょう。
心当たりのない方は病院の霊安室で戸惑ってしまい、その場で葬儀社の善し悪しを判断することは難しいでしょう。すると「何も分からないので宜しくお願いします・・」となってしまいます。
親切丁寧な対応をしてもらえれば先ずは安心ですが、中にはアルバイト社員に任せていたり、互助会の下請け業者であったり、個人経営のブローカーであったりします。強引な勧誘をする業者もおります。
都立病院や大きな総合病院などでは何社かで持ち回りで管理していることも多く、病院側もその葬儀社の経営状態を詳しくは把握していないのが現状です。勿論しっかりとした優良会社もあります。いずれにしましても何処のどんな葬儀社かあとになって悔やんでも取り返しはつきません。取り敢えずご遺体の搬送だけ依頼した後からでも、葬儀をどうするか検討する時間は十分にありますので、親族をはじめ周囲の人によく相談して決めましょう。
ひとくちに葬儀社といっても、葬祭業は許認可事業ではありませんので誰にでも開業でき、その規模も様々です。更には葬祭専門業者(全日本葬祭業協同組合連合会加盟店)や互助会(冠婚葬祭互助会)、農協や生協でも葬儀を請負っております。
葬儀に限らずどの業種でもそうですが、業者によってサービスの内容や個性も様々で、好みにあった葬儀社かどうか判断の基準も生活者皆様によってかわってきます。「価格が安い」「価格よりサービス重視」など、生活者皆様の価値観や選択の基準がなければきっと満足を得ることはないでしょう。
親族や知人の紹介・以前に頼んだ・近所にあった・互助会の会員だから・病院の紹介・寺院の紹介・広告や看板などの選択要因があげられますが、いずれにせよ生活者皆様の価値判断を定め、形式・形態・サービス内容・予算など事前の相談で意向をしっかりと伝え、疑問や分からないことがあればどんなことでも質問しましょう。
いい葬儀を実現するためにはいい葬儀社の選択は必須条件です。大切なご家族を喪い悲しみの中にあるご遺族が営む弔い(葬儀)を心込めてお手伝いすることが葬儀社の使命でなければなりません。いい葬儀社のポイントをご紹介しましょう。
- 親切で丁寧な対応かどうか。当たり前のことですが案外不骨頂な対応をする人がおります。
- ご遺族の悲しみを真摯に受け止め、ご遺族の意向に耳を傾けているかどうか。ご遺族の悲しみをよそに事務的に一方的に説明しだす担当者は失格です。
- 質問に対しすぐに適切な答えとアドバイスをしてくれるかどうか。・・
「それはできません。これでないと困ります。」というような返事がかえってくるようではマニュアルどおりの葬儀しか出来ない証拠です。 - 商品やサービスの詳しい説明と予算についての打合せ後、見積書の提示があるかどうか。葬儀費用の明朗性は特に大切です。確認と納得なしにいい葬儀の実現はありえません。
- 商品やサービス内容を記載したパンフレットや価格表、その会社の経歴書などの印刷物があるかどうか。個人的に請負い実際はすべて外注で施行するところもあります。
- 事前相談窓口や電話での問合せでの応対なども、その会社の姿勢が問われる体切な要素です。聞きたいことがあればどんなことでも質問しましょう。
ご遺体の安置を終え、一段落とはいえ、これからたくさんの事を決めていかなければなりません。葬儀とは非日常的なことであり、しきたりや風習などに煩わされ一見落着いているようでも、失礼ながら思考能力は低下し頭の中はからっぽという状況ではないでしょうか。
前述の通り葬儀社の善し悪しは親切丁寧な対応と適切なアドバイスがあるかどうかです。ご遺族の意向を聞き取らず主導的に打合せを進めたり、明朗な説明と見積り提示がない場合は「もう少し考えさせて下さい」と言って、打合せを中断し別の葬儀社に依頼してみてもなんら差し支えありません。
場合によっては相見積りをとるくらいの冷静さが必要ではないでしょうか。なお死亡診断書は打合せを納得して終えるまで安易に葬儀社へ渡さずご遺族の手で保管されることをお勧めします。
火葬場や斎場の霊安室にお預かりします。葬儀社によっては自社保有の安置所もあります。なおお預かりするためにはお棺にお納めする必要があり、その種類・値段もまちまちですのであらかじめ確認しておく方が賢明です。「病院から搬送の際に納められた棺で、かなり高額な代金を請求された」などということがないように気をつけましょう。
都内民営火葬場の霊安室保棺には一般保棺(\4,400-/1日)と冷蔵保棺(\9,900-/1日)があり、自社会館の安置所を保有する業者によっては無料のところもあります。また面会時間の設定もあります。けっして冷凍にしたり、そのままの状態では保棺いたしません。ドライアイスを併用して係員がしっかり管理致しますのでご安心下さい。
御自宅が狭くて棺が入らないという方でもご遺体は運べます。タンカすら入らなくても背負ったり抱きかかえてもいいわけです。ご遺体によほどの損傷がないかぎりはなるべくお帰りになり、あらためてご納棺(儀式として)されることをお勧めします。
高齢化社会を迎え死亡人口もますます増加傾向にあります。不思議なもので季節や気候で訃報が集中することがよくあるのです。そんな時は確かにご希望される式場・火葬場の手配は、葬儀社にとって頭を悩ませることになります。都内では火葬場の友引きの休館日も含め、長い時で5日~7日間も待たねばなりません。
区営斎場も料金が安く人気があり、皆さま順番待ちです。「そんなに長い間ご遺体は平気なの?」よほどの損傷がない限り心配無用です。「でもそんなに長く会社をやすむわけにはいかないし、家族のみんなも疲れてしまう・・」確かにそうですね。残念ながら今のところは場所と時間のどちらを優先するのかという他はありません。
但し宗派を問わず式場(会館)を運営している寺院が数多くあります。 使用料は25万~40万と割高ですが、交通利便性もよく、駐車場や冷暖房などの設備も整っております。「こんなところにこんないい場所があったのか・・」お急ぎの方は是非担当の葬儀社に相談してみては如何でしょうか。
参列者が少なければ広い会場も必要ありません 。自宅で行えなければ手ごろな会場選びから考えましょう。そうはいっても手ごろで安い式場というのがそうそうあるものではありません。多少広めの式場でもお身内の皆様全員が着席し、閉め切って利用すれば違和感はありませんし、厳かに進行できます。
質素の中にも度合いがありますが、祭壇も一番廉価なもの、お棺の廻りに些少の供花で飾る、料理・返礼品・礼状・香典返しをはぶくなどが基本でしょう。お身内の皆様には虚礼廃止の旨あらかじめお伝えしておきましょう。しかしながらよくあることですがいくら葬儀費用を抑えても立派な戒名をつけ高額なお布施を包めば同じことです。
埋葬墓地やその後のご供養もありますので、ついでに安く良心的なお寺さんを探しておつき合いする努力も必要でしょう。
どんなに遠方でも檀家としておつき合いのある場合は、菩提寺様に一旦御相談して下さい。費用のことは別にして、なんとしてもお務めに来て頂けることもあります。
ご住職の都合がつかなければ副住職、それもだめならご縁のある最寄りの同じ宗派の寺院を紹介して下さることもよくあります。葬儀のあとどちらに納骨し、御供養していくかが問題となりますので、檀那寺の了解なしに戒名をつけたり葬儀を済ませることは禁物です。またまったく寺院とはおつき合いのない方は、葬儀社からの紹介で大旨どんな宗派でも紹介が可能です。
取り敢えず葬儀だけの依頼から戒名も依頼できます。この他枕経、火葬場の立会い、法要も引き受けてもらえます。 今や都心部では核家族化が進行し菩提寺や信仰をもたない方々も増えておりますので、料金(お布施)も良心的なようです。いずれにしましてもお墓をどこにするのか、公営の霊園墓地や継承者のない「合葬墓・合葬納骨堂」などを利用する以外の方はお寺さんとよく相談して下さい。
東京23区以外の自治体にも様々な葬儀システムがあるでしょうが、ここでは区民葬儀について御説明します。 東京23区の各区には東京都葬祭業協同組合加盟店の葬儀社が区民葬儀取扱い店として登録されています。利用希望者は死亡診断書を所轄区役所窓口に提出(火葬許可書申請)する際に申し出ます。そこで葬儀(祭壇)・霊柩車・火葬料の3枚綴りの利用券が交付されます。葬祭料(祭壇)A-31万2千円・B-13万6千円・C-10万円と3ランク選べます。 そして霊柩車(普通車)・火葬料金(最上等)・収骨容器(白)が通常価格の1割引きで利用できます。
このほか棺・焼香用具・記帳類・設営撤去費用なども含まれております。さてここで一般葬儀に比べ何が経済的かといいますと何もありません。 祭壇はいずれも白木祭壇ではなく布掛けのものに指定され、最低限の装飾が設定されています。
写真・生花・供物・礼状などは別料金です。 ようするに一般葬儀価格から割引きや付帯サービスが摘要されるのではなく、経済的な仕様がパッケージされているということです。それではこれで不十分かといえばそんなことはありません。区民葬儀を利用するか否かの価値判断は生活者皆様の自由です。
確かに散骨を希望する人は増えてきているようです。その背景には「人間も自然に帰るのがしぜんである」、「墓地や霊園の値段が問題」、「継承者や寺院との付き合いの問題」などが根底にあるようです。
墓地開発がもたらす環境破壊問題を訴える人々も散骨奨励となるでしょう。 都民調査での散骨希望者はまだまだ少ない数ですが、未婚者や若年層に多く、「葬儀をしたくない」人ほど希望されるケースが多いといえます。散骨については「墓地・埋葬法」や刑法弟190条「死体・遺骨遺棄罪」等の法律や規制で定られたものはありません。
あくまでも葬送を目的として灰状(2mm以下)にして、他人に迷惑のかからないよう道徳的節度をもって行うというものです。自然葬奨励の市民団体もありますが、実際には葬儀(火葬)の後の話ですから、葬祭業者に依頼・紹介をしてもらうといいでしょう。
メリットといえば、生活者自身で葬儀資金(葬儀の準備)を積み立てているという精神的安心感だけではないでしょうか。全国的にみれば斎場の保有率が高く、斬新なイメージがあるということでしょうか。しかし月払い掛金は無利息、保全措置は50%、契約サービス内容の形骸化、解約時の払戻し金の問題、転居した場合移籍先での引き継ぎ契約、資金流用に失敗し経営破綻をした場合の前受金保全の有無、など入会前には慎重な検討が必要です。
積立金で葬儀費用のすべてが賄えると思われている方も多いと思いますが、限定されたマニュアル商品以外は20~30万円の積立金でお葬式すべてができるはずがありません。殆どが契約外項目で、一般的な葬儀を行えば少なくとも4~5倍の追加費用が必要でしょう。互助会加入者の積立金総額は、業界全体で1兆5千億円を上回っており、その半分は各社営利法人として斎場建設やその他の資金運用に使われております。 祭業者に依頼・紹介をしてもらうといいでしょう。
簡単に申しますと、生活改善を目的として原則的に組合員を対象に一定の範囲で安心して葬儀が営めるように組織した葬祭事業、ということでしょうか。農協は地域での互助のため葬具の貸し出しや、地元農協の事務所で受け付け、専門職でなくても顔なじみの職員がお手伝いをするなど、親しみやすく組合員との密着型で普及してきました。
均質で過剰でないサービス、そして割安といったところでしょうか。都市部では農協が出資し、法人組織で葬祭事業専門に活動しているところもあります。生協は90年代より葬祭事業に参入し、料金の明瞭性を打ち出しました。地域の習慣に根ざしたノウハウの蓄積により、地元葬儀社との提携がほとんどであります。やはり安さが売りのようです。
最近、生きているうちに葬儀の準備(契約)をする人が増えています。生前契約では葬儀の内容から費用を事前に検討し、個性的・合理的な葬儀を営もうとするものです。 葬儀社と保険会社が提携し葬儀費用の支払いから死亡後の税務手続きや永代供養・法事まで契約するところもあります。
ところが日本ではまだまだ新しいシステムで法律による規制がありません。長期に亘る契約ですので、物価の変動や追加費用など変動をカバーできるのかどうかまたは故人の遺志か遺族の意向か、法定相続人の保険金の権利など、死後の決済権を含んで障害がでてくる可能性もあります。
こうしたことから日本では「生前予約」として法律の規制にかからないゆるやかなシステムが多いようです。前受金(掛金)の保全、希望通りの葬儀施行の実現、解約や変更見直しの条件など慎重に確認しておきましょう。
通夜、葬儀・告別式をしないことです。いわゆる火葬のみおこなうことです。しかしちょっと待って下さい。
式場を借りて、会葬者が来るからお金がかかるのです。ご自宅にご安置さえできれば、ご遺族・ ご親族・ご友人くらいなら、1~2日の間は時間を定めず、来て頂いた方から順にご焼香くらいはできると思います。これでも夜を通して行えば「通夜」、日中であれば「告別式」となるのではないでしょうか。
適正かつ相応な葬儀を営めば、ほぼまかなえるのではないでしょうか。葬儀にはいろんな形態、オ-ダ-メニュー(祭壇・棺・霊柩車・火葬場などのランク)、会葬者数の変動がありますので何とも断言はできませんが・・・。たくさんの会葬者が見えればお香典もたくさん集まるでしょう。
でもたくさんの会葬者が見えればその数に対応する広い会場と設備、広い会場となれば大きい祭壇、会葬者数X返礼品数、会葬者X飲食費となるのは当然です。逆に会葬者がほとんどこない親族を中心とした葬儀でも、そこそこの式場費、祭壇費、葬儀社の運営管理費などを間引きすれば相対的には割高となります。例えば会葬者100人~200人、葬儀費用100万~200万あたりが適当なところでしょうか。・・お願い・・寺院へのお布施は葬儀費用から除外して考えて下さい。
予想外の費用・・・?それは予想外の会葬者が見えたということではないでしょうか。葬儀の打合せ段階で、会葬者の予想を間違えるとこうなります。勿論見積書を提示していればの話ですが。
逆に予想数を下回った場合「案外安く済んだな」と思われるのではないでしょうか。優れた葬儀担当者はご遺族への対応面もさることながら、会葬に見える方々への配慮から急場の対応についての予測もして打合せを致します。葬儀中にはご遺族は気付かないことでも、後になって日頃疎遠な親戚や会葬者の方々から些細なことでの指摘をうけるものであります。
お祝の席に免じて・・は通用しても御不幸に対してはそうはいきません。かかりもしない費用を水増し請求したりする業者もあるようですが、ハッキリとした打合せと事前見積りをもらっておけば、後で訴えることもできるでしょう。ご謙遜もあるでしょうが多少多めに見積ってみては如何でしょうか?